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約7割のシェアを誇る「成牛革」の生産量 兵庫県における製革業の歴史はきわめて古く、弥生時代後期に大陸から帰化人が鞣製技術を伝え、その基礎を築いたとみられています。その後、江戸時代中期に全国的な商品経済の発達と姫路藩の重商政策のもとに大きく発展しました。

兵庫県皮革産業の歩み

(4)戦後の皮革産業 昭和30以降

7.平成不況(平成3年~5年)

わが国経済は平成3年(1991)に入っても下降を続け、止まるところなく底なし沼に入った。株式においても東証ダウ平均20,000円を割り込み、各株価は同元年(1989)の高値から3分の1、4分の1の株価まで下がり、地価においても下がる一方で、高値で買い占めた不動産業者や投資家は売ることが出来ず、倒産が続出した。
  株式、土地、ゴルフ会員権等投資に関する全てのものが大暴落に転じ、各市場は氷のように冷えきった。この状態は同4年(1992)、同5年にはいっても続き、回復の兆しが全くなく推移した。

●為替相場――円高が加速

平成3年頃までの数年間、高値米ドル=120円台、安値米ドル=140円台後半で推移していたが、同4年から次第に円高に向かい同5年には高値101円、安値125円と2割近くも円高となった。

●業界の推移と輸入製品の激増

円高が進むに従い輸出革全体は壊滅的な打撃を受け、ピーク時の昭和59年に比べて実に64%も低下した。金額でいえば平成3年に309億円、同4年279億円、同5年247億年と激減を続け、ピーク時の昭和59年に比べて実に64%も低下した。逆に革、革製品の輸入がイタリアを始め、発展途上国の中国を筆頭にタイ、バングラデシュ、ブラジル等から増大し、わが国皮革市場をますます混乱させている。
国内生産においては、これまでのソフト調の革からヌバック革(銀面摺り染色)とアメリカ革タイプのオイルレザー革、床ベロア革の需要が多くなってきた。冷えきった日本経済を反映するかのように、光沢のない沈んだ落ち着いたムードの革の流行となった。
原皮輸入数量は平成3年、同4年には遂に700万枚を割り込み、同5年には更に592万枚となり、昭和51年(1976)の最高時の1,125万枚からみると53%の数量にまでなってしまった。

●TQ一次関税率数量枠の拡大率の決定

平成4年度からの一次関税率の割当数量はECとの交渉の結果、拡大率を引き上げられることになった(5年間)。その内容は次の通りである。次表の3年度分の数値は、交渉過程における暫定措置によるものである。

平成3年度一次関税率割当数量
牛馬革(染着色) 589,000 平米 17.1%増 (前年比)
 同 (その他) 102,000 15.1%増
山羊革 532,000 13.2%増
革 靴 4,830,000 17.2%増


そして同4年度より、年当りそれぞれ20%、16%、15%、20%の拡大率が適用されてきている(平成8年度まで適用)。

●関税割当制度(TQ)の改訂

前に述べた通り、皮革・革靴のTQ制への変更は昭和61年(1986)4月より実施され、ニ段階方式の関税制度とはいうものの、輸入が自由化されたのであった。これは5年間の国際協定に基づくもので、その期限は平成3年3月31日である。日本はもとより欧米諸国の思惑が絡み、その期限内には交渉がまとまらず、大幅に折衝が長引いた。そうした過程を経て、今回の交渉はではとりわけウルグアイ・ラウンドの一環として高関税の仕組みが攻撃の的となった。業界としても、現在の業況からみて制度が緩和されることは重大な問題であるとの見地から、日本タンナーズ協会が主体となって粘り強く対応策を要望してきた。かくて困難を極めた国際交渉も、遂に平成5年12月15日、その決着を見た。期限から遅れること、実に3年近くに及んだのであった。この妥結の内容は次表の通りであり、同7年(1995)1月1日より適用された。

UR交渉の輸入関税引き下げ妥結内容
  一次関税率 二次関税率
現行 引き下げ率 8年目 現行 引き下げ率 8年目
牛馬染着色 (通関番号)] 60% 50% 30%
4104,31,211番のみ[成牛馬完成革]
20% 1/3 13.3%
その他の完成革
20% 20% 16.0%
牛馬のその他革 15% 20% 12.0% 60% 50% 30%
山めん羊革
(染着色)
20% 20% 16.0% 60% 50% 30%
革靴 27% 20% 21.6% 60% 50% 30%
4,800円/足 4,300円/足
但し子供靴については
          2,400円/足
ゼラチン 20% 15% 17.0% (なし)
  1. 平成7年1月1日から段階的に8年間(以内)にかけて引き下げる。
  2. その他の革製品は基本的には20%引き下げる。
    但し、靴部分品の現行25%はそのまま据置く。
 

なお、その当時の新聞報道によると、わが国の鉱工業品の約6,700品目について税率が約60%削減され、平均引き下げ率は日本3.8%が1.5%へ、アメリカは5.4%から3.6%へ、EUは5.7%から3.6%になった。

●工業統計にみる兵庫県の皮革業

ここで最近の兵庫県下の皮革産地の状況を工業統計からみてみよう。
まず、企業数は全国で平成5年は923社で、その内兵庫県は582社の63.1%を占めている。いずれの数字も、実際になめし業を行っている企業ばかりでなく、関連業種も含められた統計値であることに留意しておきたい。また従業員数は全国が8,300人、兵庫県は3,958人で47.7%である。出荷額は全国が1,659億円で、兵庫県は863億円で52.0%になっている。あとで延べる通りこれらの数値は、業界の実感をかなりかけ離れたものとなっている。

兵庫県皮革産業の推移
年次 2 3 4 5 全国
5
企業数 県下全体 666 658 658 645 582 923
姫路市 305 302 299 289 280
龍野市 255 251 253 252 214
川西市 61 59 59 59 49
太子町 7 7 10 10 10
その他 38 39 37 35 29
従業員数 県下全体 4,448 4,477 4,472 4,450 3,958 8,300
姫路市 1,894 1,878 1,856 1,907 1,761
龍野市 1,740 1,789 1,790 1,749 1,493
川西市 433 432 445 430 365
太子町 62 47 62 60 62
その他 319 331 319 304 277
製造品出荷額
(百万円)
県下全体 101,795 108,132 111,003 100,141 86,265 1,659
億円
姫路市 38,334 43,350 42,465 41,476 36,810
龍野市 46,709 51,956 52,515 46,066 40,036
川西市 11,361 8,620 12,295 8,387 6,681
太子町 1,440 1,599 1,510 1,409 1,207
その他 2,951 2,607 2,218 2,803 1,531
(出所:工業統計)
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