原料皮はたんに原皮ともいい、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、シカ等の哺乳類、ワニ、トカゲ等の爬虫類、そしてその他カンガルーやダチョウ等が用いられます。この中でも使用量が非常に多いのが牛皮です。原料皮は大きさによって、ハイド[hide]とスキン[skin]に区別されます。
ハイドはウシ、ウマ等の大動物の皮でアメリカ、カナダの規格では重量が25ポンド(11kg)以上のものを指します。それに対して、スキンは重量がそれ以下のもので、子ウシ、ヒツジ、ブタ等の幼動物や小動物の皮を指します。原料皮はまたその部位によっても分類されます。サイド[side](背線での半裁)、ショルダー[Shoulder](肩部)、バット[butt](背部)、べリー[belly](腹部)等です。
革製品の大部分は牛皮が使用されています。わが国で使用されている牛皮の85%以上が輸入されています。牛皮の性質は、大判で厚く、繊維組織が比較的均一で充実していて強度及び耐久性があり、以下のような種類に分けられます。
- 成牛皮 去勢牛(ステアハイド)
- 生後3~6ケ月以内に去勢したオスで、生後2年以上を経たものの皮
- 雄牛(ブルハイド)
- 生後3年以上のオスの成牛の皮
- 雌牛(カウハイド)
- 生後2年以上のメスの成牛の皮
- 中牛皮(キップスキン)
- 生後半年以後から1年余りまでのものの皮
- 子牛皮(力一フスキン)
- 生後6ケ月以内のもので牛皮中のトップクラス
キップスキンやカーフスキンは成牛皮に比べると銀面(注1)が平滑できめが細かく美しいので、高級な革となり代表的なものがボックスカーフです。
(注1)動物の皮の構造は組織と性質が異なる表皮と真皮の2層からなっています。表皮層は鞣し工程の前の脱毛処理で除かれます。真皮は主にコラーゲン繊維からなり鞣されて革となるのはこの部分です。真皮層はさらに乳頭層と網様層に区分され、乳頭層の上面は革となったときの表面となる部分で銀面(ぎんめん)と呼ばれています。銀面は革の外観、品質に関係が深く、その凹凸模様は動物固有のものです。網様層は革の物理的強度に関係し、比較的太いコラーゲン繊維が縦横に交差しています。
羊皮は種類が多く、皮の性状も多様ですが、ヘアシープとウールシープに大別できます。小羊の皮はラムスキンといいます。
- シープスキン
- 【ヘアシープ】
強度的に優れているので、ゴルフ手袋や衣類に用います。
- 【ウールシープ】
繊維の絡み合いが少なく、体表面と平行に走行し、乳頭層と網様層に二分しやすい。軽くて柔軟ですが、強度は弱い。
- 【ラムスキン】
小羊の皮。毛皮原料としても良質。
羊皮より充実した繊維組織を持ち、強くやや硬い。銀面は特有な凹凸をもち耐摩耗性に優れています。
- ゴートスキン 山羊皮
- キッドスキン子山羊皮。独特の銀面模様を持ち、高級靴の甲革、手袋等に用います。
国内で自給できる唯一の原皮。組織の部位差が大きく、バット部(背部)が密で硬く、均-な柔軟性が得にくい。太い剛毛が裏まで貫き、表面に独特な毛穴の模様が見られます。革となるのは、脂肪の多い網様層が除かれ、凹凸の多い乳頭層のみです。
全体に組織は荒いが、バット部の網様層は緻密で美しく、重量馬のバット部からはコードバンと呼ばれる硬い層が得られます。この部位以外は裏革等に用いられます。
- 鹿皮
- 傷が多いので銀面を除いて使用することが多いのですが、非常に柔軟です。
- カンガルー皮
- 比較的薄く、強度は強いがやや傷が多い。
- ダチョウ(オーストリッチ)
- 羽根を抜いた後が丸く突起し、皮の表面におもしろい模様があるため珍重されます。
- 爬虫類(ワニ、トカゲ、ヘビ)
- それぞれ特徴ある銀面模様が珍重されます。