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約7割のシェアを誇る「成牛革」の生産量 兵庫県における製革業の歴史はきわめて古く、弥生時代後期に大陸から帰化人が鞣製技術を伝え、その基礎を築いたとみられています。その後、江戸時代中期に全国的な商品経済の発達と姫路藩の重商政策のもとに大きく発展しました。

革のできるまで

 

手入れ剤は、形状(霧状、泡沫状、液状、ペースト状、半固形状)、用途(保革用、汚れ落とし用、防・はっ水用など)、製品用途(衣料用、靴用など)、革用途(銀付革用、起毛革用など)などによって分類され、多くの種類が市販されています。だからこそ、手入れ剤は使用前に必ず目立たないところで確かめてから使用する必要があります。手持ちの革にどんな手入れ剤が合うのか分からない場合は必ずお店又は専門家に相談するようにしましょう。

革衣料は容易に洗濯やクリーニングができないので、日頃の手入れが重要ですが、それでも汚れがひどくなった場合にはクリーニングせざるを得ません。
その場合、特に何を注意すれば良いか列挙してみました。

  1. 皮革専門のクリーニング業者、あるいは専門業者に取次ぎできる店であることを確認する。
  2. 店頭の受付時に立ち会って汚れ、変退色の程度、傷、破れ、ほつれなどをチェックするできれば袖や丈の寸法も測っておくと良い。またレザーに限らないが、ボタンや装飾品など付属品の確認も行うと良い。
  3. スーツなどペアの物は片方が汚れていない場合でも、色あわせ用に店に預けると良い.コートなどのベルトも参考になる.。
  4. 動物の種類や革の表面の加工法などにより、クリーニング中の機械的な作用によって生体時の傷や血管跡などその革の持つ特徴が顕在化してくる場合もあることを認識しておきたい。
  5. 汚れが除去されると着用中の光による退色が顕在化することがあるので、認識しておくこと。
  6. 一般的にクリーニングすると新品同様に仕上がってくるという錯覚(期待)があるが、革にまったく変化を与えず、汚れだけを取ることは不可能。ある程度の変色、縮みや、風合いの変化が生じることがあるのはやむお得ないと思っておきたい。なお、クリーニング店から戻った革衣料は、すぐに袋から出し、石油の臭いなど異臭がした場合は、店に再処理を依頼するか、風通しの良い屋外で臭いがなくなるまで陰干しすると良いでしょう。その後、型くずれを防ぐため肩幅にあった厚手のハンガーに掛けて、直接光の当たらないところにゆったりと吊るして保管しましょう。

革の強度は主にその断面の主要部分を占める網状層の厚さ、繊維の太さと絡み具合によって決まります。牛馬などの大きな動物は皮が厚いし、羊や子牛は原料皮自体が薄いのです。またそれぞれの動物の部位によっても厚さが異なります。革衣料を縫製する時、糸の太さや針目の数などの縫製条件も大変重要になってきます。素材が薄すぎたり、素材と縫製条件があっていないと、革切れが生じる原因になりますので、注意が必要です。注意していても革が破れてしまった場合、補修が不可能だと思って下さい。.こうしたケースも頭に入れて革衣料を購入する際には、ポケット口や、スカートのスリットなど、着用によって力がかかる部位の縫い目をよく観察することが大切です。

シーズン中のこまめな手入れとシーズン後、保管前の手入れが必要です。汚れは時間を置く程取れにくくなり、カビ発生の原因になるからです。

ただ汚れがひどい場合は別にしてシーズン終了ごとにクリーニングに出す必要はありません。軽い汚れはブラッシングや消しゴムタイプのクリーナーで落とすようにしましょう。水溶性の汚れは、濡らして硬くしぼったタオルなどで拭くと良いのですが、水で濡らしてもしみや色落ちが生じないことを目立たない部分で確かめておくことです。

市販のクリーナーには消しゴムタイプ以外にも、ペースト、乳液、スプレータイプなどがあります。また、水溶性などの汚れを良く落とすもの、油性の汚れに効果があるものなど、いろいろな種類があります。良く確かめて汚れにあったものを使うようにしたいものです。

先にも書いたように、革の種類に合っているか、影響はないかなど、使用する前に目立たないところで確かめるのはいうまでもありません。表面がスムースな革で、手触りがかさかさしてきた時はレザーウエア用のクリームで油分を補給しておきましょう。靴クリームを代用するのは避けてください。他の衣服を汚してしまいます。無色のものもワックス分が多く、毛穴に白っぽく残るので避けた方が良いでしょう。

手入れの後はカビの原因となる湿気を取り除くため、よく陰干ししてから収納しましょう。シーズン前には防水スプレーを使用して水や汚れから革を保護するようにすることです。

カビをおさえるには、

  1. 乾燥状態にしてカビに水分を与えない。
  2. 低湿にしてカビの成育をおさえる。
  3. 汚れを除き、栄養源を与えない。

ということが大切です。
実際にカビが生えてしまった場合は、少しだけなら、水に濡らした後かたく絞った布や食パンで擦って取れることがあります。.拭いた後は陰干しして、できるだけ使用することが最良の防カビ対策になります。
また、シーズンが終わったら、あるいは長く使用しない場合、できるだけ早く革から水分を除去するようにしましょう。年数回は晴れた温度の低い日を選んで陰干しをするのも効果的です。

雨の日に革衣料やバッグを使用することはできるだけ避けるのが良いようです。というのも革衣料や高級バッグには高級感が求められます。

これらにはなめらかで適度の弾力性のある感触の良い革が要求されます。色つやがぼけず、ごわごわしたりせず、摩擦にも強い革が良いとされるのです。革の堅ろう性を保つにはそれなりの塗装を施す必要がありますが、なめらかな感触・風合いは損なわれることが多いのです。

革らしさを最も強調した革は、素上げや薄い塗装仕上げを施したものが多く、その表面は塗装膜に十分には覆われていません。そのために水に弱いのです。濡れた革は水分により膨らみますが、水分が蒸発して乾燥すると収縮が起こり、繊維間の摩擦が大きくなって潤滑性が失われます。硬化し、風合いも損なわれます。これは織物(布)を洗濯し、乾燥させたものがごわごわするのと同じです。革の繊維構造は織物に比べて大変ち密ですから、その差も大きいのです。

また革は部位によって繊維構造の差があるため、収縮の度合いも異なり、その結果型くずれが生じることになります。風合いが損なわれたり、型くずれしたものの修復は、その程度にもよりますが、一般的にかなり困難だと考えましょう。

革繊維の防シワ、防縮を目的とした加工で尿素ホルムアルデヒド樹脂による処理があります。この樹脂で処理した衣服はホルムアルデヒドを遊離しやすく、皮膚障害が起こることがあります。ただし、衣服中のホルムアルデヒドは法律で規制されています。革製品中の場合も同様の基準値が考えられています。通常のクロム革中のホルムアルデヒドが基準値を超えることはほとんどありませんが、製革工程で薬剤を使用した場合には超えることもあるのです。少しでも不安に思ったらすぐ専門家に相談するようにしましょう。

革の主成分であるコラーゲンタンパク質は無臭ですが、さまざまな工程を経ることで種々の臭いが付着します。製革・加工工程で臭いの原因と考えられるものを挙げてみましょう。

原料皮
皮や付着物の腐敗、防腐剤
準備工程
脱毛剤、脱毛処理生成物
原料皮
皮や付着物の腐敗、防腐剤
なめし工程
なめし剤(タンニン、タンニン浴中の腐敗生成物、アルデヒド類、合成鞣剤)、加脂剤(魚油、油の酸化生成物)、防腐剤、染色助剤
仕上げ工程
仕上げ剤、溶剤製品、加工:接着剤、カビ、着用中の異物の付着や移臭。

これらの原因物質は製品革に常に残るものではありませんが、扱いが不適切であったり、特珠な製革法を用いた場合に臭気が残ることがあります。ただ、臭いの成分が複合したり、個人差もあるので、悪臭の原因を明らかにすることは困難です。消臭剤や防臭剤などには明確な区別はありませんが、次の分類を参考に試してみてください。

消臭剤
酸化・還元・中和・縮合・付加反応のような化学反応や微生物などの生物作用で臭気物質を別の低臭気物質に変換して臭気を消すもの
脱臭剤
活性炭、シリカゲルやゼオライトのような多孔性物資により、臭気物資を物理的に吸収、吸着及び分解などによって除くもの
防臭剤
抗菌剤などの物質を添加して、臭気の発生や発散を防ぐもの
芳香剤
香料、植物精油のような芳香性の物資を添加して、マスキング、中和の効果を軽減するもの

色落ちの直接の要因は革の中の染料や顔料が他の繊維素材や革に移行する場合と、染色革の細かい繊維粉末の付着のふたつのケースがあります。前者は繊維などでみられる一般的な色落ちです。これは染料や顔料の、革との結合が弱いため他繊維を汚染してしまう場合です。

また、後者はスエードやヌバックの起毛(バフィング)処理によって生じるバフ粉が最終まで残ってしまった場合です。
染色に関しては年々改善されていますが、革の色落ちを防止するには、革製品を水や雨に濡らさないことがまず重要です。

防止策として、着用前に市販の防はっ水スプレーの使用をおすすめします。乾燥の摩擦による色落ち防止策は、今のところよい方法がないので購入時に良く確認しておきましょう。

汗やクリーニンクによる色落ちに対する消極的な対策としてはアクリル、アセテート、ポリエステルなどを使用して皮革用染料に染まりにくくする方法もとれます。起毛革の色落ちについてはブラッシングするか、クリーニング処理などによってバフ粉を除去できる場合もあります。

これらの革は塗装仕上げ膜がないか、または薄いので、まず最初に水や汚れから革を守るビフォーケアとして市販の防水スプレーの使用をおすすめします。

しかし、水がかかったり、飲み物などの液状の汚れがついたときは、それらが革の中にしみこむ前にできるだけ素早くハンカチやティッシュで吸い取るようにしましょう。

日常の手入れとして、使用した後にはから拭きやブラッシングを十分に行っておきましょう。それでも落ちない汚れは、消しゴムタイプのクリーナーを使って試みます。食パンの柔らかい白い部分でこすっても良いです。ややきつい方法ですが水で濡らし硬くしぼったタオルで汚れを拭き取ることも可能です。

ただ、素上げやアニリン革では濡れるとしみができるものもありますから、そのような場合はこの方法はとれません。また、起毛革は濡らすと毛羽の美しさを損なう場合もあります。ベンジンやシンナーなどは油性の汚れを良く落としますが、しみなどが出来やすいので使用しないでください。

日本袋物協会では、爬虫類革のバッグに対して、自主的な品質表示規定を定めています。それによると、外面積の60%を超える素材を使用する場合、「ワ二」や「トカゲ」のように表示するようにしています。カバンやベルトでは、ワニやトカゲなどの革は、「通常生活の用に供する」家庭用品ではなく、贅沢品であり、また、識別が難しいので、品質表示の対象から除かれています。したがって、素材名が表示されていたり、紛らわしい名前がついていたり、また表示自体が成されていなかったりするのです。一般的に、爬虫類の模様をまねた革を作るには型押しをすることになります。型押しは牛革、豚革、床革やレザーボード等に、型板やロールで加圧し、動物の銀面模様の型をつけます。また、模様のついた塩化ビニールフィルム等を床革に張りあわせたものもあります。型押しであるかどうか、外観からのみでは簡単に識別できない場合が多いようです。ではどうしたら良いのでしょう。

1 模様が均-かどうかを見る。
動物は一匹ずつ個性があり、模様が均-すぎる場合は偽物です。
2 銀面模様の凹凸の様子を観察する。
革断面を顕微鏡で見ると、本物は凹凸が深く、本物でない場合は凹凸が浅いということがあります。

2は普通の家庭ではなかなか困難ですから、1を目安にすると良いでしょう。

エナメル塗膜のつやが消える原因は大きく二つに分けられます。一つは塗膜の表面の変化によるもので、もうひとつは内部の変化です。表面の変化には

  1. 太陽、蛍光灯などの光や熱による変化
  2. 使用過程での細かいしわおよび擦り傷の発生
  3. 手あか、汗など各種生活汚染物質の付着

などが挙げられます。
内部の変化としては本来革素材中に安定して存在するはずの動物油や下塗り塗料中の各種ワックス類がエナメル塗膜中に少しずつ移行することにより起こります。この結果、エナメル塗膜に不純物が入り込む状態となり、光沢が低下します。防止対策としては使用時のていねいな扱い、柔らかい紙や布での包装、シューキーパーによる型くずれの防止などで、擦り傷やしわの発生はある程度防ぐことができます。また、手あかや汗など各種生活汚染物質が付着した場合は、薄めた中性洗剤をつけた柔らかい布で拭き取ると良いでしょう。

人工皮革といっても現在では実に多くの種類かあります。中には本革とほとんど見分けがつかないものまで出てきています。明確に区別するのは大変困難になってきているのですが、いくつかの方法を挙げてみましょう。

  1. ラベル、品質表示、レザーマークの有無など。
  2. 品質の判る切り口(例えばベルトのバックルをはずしてみる)を探し出し、本革特有の断面構造をしているかどうかを見る。
  3. 縫い目の形状は本革と人工皮革ではかなりの差があるので、見近かにある本革製品と比べてみる。
  4. 人工皮革は手のひらをあてていると汗ばむ傾向がある。本革はしっとりとした感触がある。
  5. 本革は動物の生体時の傷やシワなどによる不規則性があって一様ではない。人工皮革は全体として均-である。
  6. 本革は表面を濡らしてすぐ拭き取ると、かすかなシミが一時的に残ることが多い(これは容易に直せる)。
  7. 人工皮革は焼くと発泡したり、溶解しながら燃える。本革は、はるかに燃えにくく、変形しにくい。

これらの方法を一つだけではなく、複合的に試してみると、よりはっきり区別することができます。

革を構成するコラーゲン繊維は親水性であり、繊維同士が立体的に交絡した構造(組織)を持っています。このため、微細な間隔が多く、この多孔性が靴のはき心地や衣料としての快適性など、革の特徴を発揮しています。

革は湿度(相対湿度)の変化に応じ、容易に水分を吸収し、また放出します。このように、革が水分を吸収し、放出する作用を"革は呼吸する"とたとえ、革の最も大きな特色ともいえるのです。人工皮革の靴と比較して、革靴のむれが少ないのもこのためだといえば、より判りやすいでしょう。

製革に関する単独の博物館はありません。しかし、靴、鞄、革衣料など革製品を展示している博物館としては次のようなところがあります。

  • 日本はきもの博物館(福山市)
  • 国立民族学博物館(吹田市)
    ※「民族と革製品など」のテーマで展示
  • (財)アイヌ民族博物館(北海道白老郡)
    ※アイヌ民族の革製品
  • 兵庫県立歴史博物館(姫路市)
    ※「姫路白なめし革の製造から革製品の加工まで」

またこの他、皮革産業資料館(東京都台東区)や東京国立博物館(東京都台東区)などがありますので、参考にしてください。

白い粉、またはカビ状のものを"スピュー"といいます。スピューの成分は塩または脂肪のいづれかです。両者を区別する方法があります。それは水拭きして消えるのが塩スピューで、消えないのが脂肪スピューです。

塩スピューは靴に発生することが多いようです。靴が雨などに濡れると、浸透した水分が蒸発する時、呼び水となって、革中に存在する塩を表面に運び、乾燥後"塩吹き"と呼ばれる白い粉が析出します。ではなぜ革中に塩が存在するかというと、それは製革工程で使用されたものや、発汗によるものと考えられます。この塩スピューは、水に浸して硬くしぼった布で拭けば簡単に取り除くことができますが、革中に塩が存在すると、再び発生し、完全に防ぐことは困難です。対処法として、革に防水性を付与して水の浸透を防ぐこと、浸透した水は早めに除去すること、靴の内側に潮解しない乾燥剤や新聞紙を入れて陰干しするなどの工夫が必要です。

一方、脂肪スピューは衣料革に発生するケースが多いようです。脱蝋不十分の天然油脂、またはパラフィンなど高融点の合成脂肪を含有する加脂剤を使用したり、あるいは動物の体脂肪の除去が不十分で、革に残留した場合に発生しやすくなります。対処方法としては、ドライクリーニングによって、脂肪成分を除くこと、低融点の油剤を添加することなどによって軽減されることがあります。