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約7割のシェアを誇る「成牛革」の生産量 兵庫県における製革業の歴史はきわめて古く、弥生時代後期に大陸から帰化人が鞣製技術を伝え、その基礎を築いたとみられています。その後、江戸時代中期に全国的な商品経済の発達と姫路藩の重商政策のもとに大きく発展しました。

兵庫県皮革産業の歩み

(4)戦後の皮革産業 昭和30以降

5.安定期(昭和50年代末期から60年代前期)

昭和58年に入り、前年までの混乱もようやく峠を越すとともに、国内での需要はファッションの変化に伴い、小判革(カーフ、キップ、山羊革)のエレガンス調から次第にソフト調に移行してきた。

ソフト調となれば兵庫県下タンナーの得意とする技術であり、関東の小判革生産から、成牛革の生産を主力とする関西地区タンナーにも需要が多くなってきた。ブーツブーム最盛期から比較すると20~30%の生産減になっていたが、この数年間、靴、袋物用革とも国内において比較的安定した生産量となった。

一方輸出について見ると、円相場が同60年11月の200円突破を経て、同61年8月152円になるなどその後も円高が急速に進み、輸出量は大幅な需要減となった。しかし国内市況は順調な推移をたどり、各タンナーともそれほど影響は受けなかった。というのも、バブル景気の時期に入っていく時でもあり、好調に推移し、また皮革製品も本格的にカジュアル、ソフト調時代を迎え、服装もジーパンスタイルとラフなファッションになるに従って靴、バック類もソフト調で軽い感覚の商品が活況を呈した。

そしてバブル景気により地価、株価の上昇もあり、一般大企業の好調からタンナーにも需要増が続いた。この他椅子張用革、カーシート用革も全て好調で、ブーツブームの時以来業界も久しぶりに活気に満ちた時であった。

成牛原皮相場は、同60年には1枚当り67米ドル、同62年83米ドル、同63年95米ドルとなり、円高に合わせて原皮の現地相場は高かった。

昭和58-60年の地域別、革種別生産比率の傾向 (%)
  成牛革 中牛革 小牛革 豚革 山めん羊革 牛床革 豚床革
龍野 58年 41 5 1.5 0.2 32.7
59年 39.7 10.2 0.6
60年 41.7 13.5 0.6 26.8
姫路 58年 19.1 17.6 5.4 7 22.1
59年 19.7 20.3 3.6 0.2 5.3
60年 19.7 31.1 2.9 2.4 11.3 45.8
川西 58年 13.2 2.9 1 1.7 8.8
59年 11.3 1.7 2.9
60年 6.7 1.3 2.3 13.3 0.2 1.9
和歌山 58年 2.5 14.7 16.9 0.5 2.2 28.9
59年 3.6 8.5 5.9 0.8 4.7
60年 3.6 9.5 3.5 2.9 5.7 23 13
大阪その他 58年 7.7 5.9 0.2 2.1
59年 8.7 33.9 40.8 0.2 3
60年 9 8.1 28.5 0.2 3.7 1.5
関東 58年 16.5 53.9 75.2 97.6 90.4 5.4
59年 17 25.4 49.1 95.9 87 100
60年 15.1 36.5 62.2 81.4 79.1 1
合計 58年 100 100 100 100 100 100 100
59年 100 100 100 100 100
60年 100 100 100 100 100 100 100
注:59年の牛床革、豚床革は地域別不明 (社)タンナーズ協会調べ

●輸入数量制限の廃止と関税割当制(TQ)へ

同57年11月にアメリカからガットに提訴されていた日本の革の輸入数量制限及び関税問題について、同60年4月、日本はガット裁定に基づき、牛馬皮ウェットブルーの関税並びに数量制限を撤廃し、続いて翌61年4月から皮革、革靴に関して、従来の数量割当制度(IQ)を撤廃し、関税割当制度(TQ)に移行することになった。
このTQ制度における関税率は、一次税率は皮革20%、革靴27%、そして二次税率は皮革60%、革靴は60%または1足当り4,800円のいずれか高い方を適用する、と決定した。

昭和61年度一次関税率の割当数量(開始時)
牛馬革(染着色) 342,000平米
同(その他) 74,000平米
山羊革(染着色) 392,000平米
革靴 2,453,000足
 

同62年度の割当数量枠はそれぞれ牛馬革(染着色)10%増、同(その他)3%増、山羊革(染着色)3%増、そして革靴は10%増となり、次いで63年度から平成2年度分までは、年当りそれぞれ10%、5%、5%、15%増となった。

同63年度の割当数量枠は次の通りである。

牛馬革(染着色) 415,000平米
同(その他) 80,200平米
山羊革(染着色) 425,000平米
革靴 3,110,000足

製革業界としては比較的安定的に推移したが、主要市場である靴業界は同55年から4年間ほどは不況感におおわれたといわれている。

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