6.価格の推移
終戦から昭和25年(1950)までは国内に価格統制が行われていたが、その後1年間は外為枠(外貨)の不足と朝鮮戦争による世界原皮市場の高騰から旧統制価格を上回った。国際原皮市場価格は同26年3月を峠に次第に落ち着いてきた。また主要供給源であるアメリカはその後肉牛のと殺数量の増加と合成品の進出による圧迫もあって、同29年の夏頃まで漸落の傾向にあったが、同30年に入り世界経済の活発化にともない、再び上昇に向い、同29年の最低時に比べて5~7割程度高くなった。わが国の製品市場価格については、この間原料入手が容易であったこと、合理化も行われて価格は漸次引下げられたが、一方同26年の過剰輸入と同29年のデフレ政策による影響が原因で2回の不況に直面している。
同33年暮頃から、アメリカにおいては飼料の豊富なことによると殺数の激減によって需給がアンバランスとなり、アメリカ産原皮、特に中小牛皮が異常に値上がりして、このため世界的な原皮の価格の高騰を見るにいたった。中小牛皮については同34年4月には前年同期にくらべて約3倍近い値上がりを示した。この傾向は同年34年後半に入ってやや落ち着きをみせ、そして関連産業の活況と消費水準の向上による需要の増加の傾向にあるため、貿易自由化の政策の製品安に対して、国際マーケットが依然として強含みであることが当時の業界の悩みとなっていた。