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約7割のシェアを誇る「成牛革」の生産量 兵庫県における製革業の歴史はきわめて古く、弥生時代後期に大陸から帰化人が鞣製技術を伝え、その基礎を築いたとみられています。その後、江戸時代中期に全国的な商品経済の発達と姫路藩の重商政策のもとに大きく発展しました。

兵庫県皮革産業の歩み

(1)皮革産業の始まり 播州白鞣革

4.史料にみる皮革産地・播磨─古代では馬革を生産

牛革のように、動物皮の中でも大型で硬質繊維の皮の加工技術は、鹿皮に代表される中小動物皮のそれよりも歴史的には後世に始まったものと考えられる。つまり鹿皮は最も古くから作られたものであり、牛馬革の加工の始まりは、例えば日本書紀の仁賢紀にあるような製革技術者須流枳(するき)の渡来に深く結びついているのではないかと思っている。

皮革生産地として播磨の国名が史料に初めて出るのは、延長5年(927)に完成した延喜式である。同式の民部(下)の交易雑物の項には各種皮革の産地として、伊賀・尾張・三河・遠江・駿河・伊豆・甲斐・相模・武蔵・安房・上総・下総・常陸・近江・美濃・信濃・上野・陸奥・出羽・越前・加賀・能登・越中・越後・丹波・丹後・但馬・因幡・出雲・石見・播磨・美作・備前・備中・安芸・周防・長門・阿波・讃岐・伊予・紀伊・大宰府の43か国があがっている。

この内最も多いのは鹿皮類35か国、牛皮類として特定できるのが14か国(国数は種類枚に数えている)で、ほかにも革種がある。この他「諸国新馬革」では尾張・近江・美濃・丹波・播磨・阿波の6か国あって、合計100枚の貢進をしており、その内播磨は32枚を占め最大の産地となっている。

また、鹿革では三河・武蔵・上野の各60枚に次いで、播磨は伊予と並んで50枚を産している。播磨は牛革類の産地としては名は出ていない。

当時の皮革の用途としては、祭礼用のほか、鞍・馬具・甲冑・履・筥(はこ)・敷物・衣料・腰帯・刀剣・弓道具、紐・装飾品・吹革(ふきかわ:ふいごの皮)などであった。
高木地区で早くから製革業のあった証の一つとして、よく引用されるのは播磨風土記の飾磨郡小川村の項である。


姫路白鞣革の天日晒 昭44

・・・・・・故号私里。・・・・・・改為小川里。・・・・・・所以称高瀬者、品太天皇、登於夢前丘、樹而望見者、北方有白色物。勅云、彼何者乎。即遺舎人上野国麻奈毘古令察之。申云、自高処流落水、是也。即号高瀬村。

この文中の白色物は熟革を日晒にしているのを指すという説、そういう理解は不適当とする説、疑問視する説など様々であるが、市川の流れの変遷や地形、夢前丘からの遠望の難しさ、品太(応神)天皇の時代に皮革生産を忌避する思想もなかったこと、さらに遠望して白く見えるほど大量の皮革生産が当時の社会で行われていたとは考えられないなどの理由から、この風土記と市川流域の皮革生産を安易に結びつけることには賛成できない。

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