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原料

米と水と麹が醸し出す清らかで深い味わい

日本酒の80パーセントを占める成分「水」

品質を左右する大きな要因となる水は、日本酒の80パーセントを占める成分です。
地下水などの井戸水や伏流水が水源となり、都市部の醸造所などでは、上質な水を求めて遠隔地から水を輸送したり、良質な水源を求めて移転することまであり、それほど水は酒造りにとって重要な原料です。

酒の味を大きく変える要因となる「硬度」とは?

一般に硬水の仕込水を使えば辛口の酒が、軟水を使えば甘口の酒ができます。
硬水の場合ミネラルにより酵母の働きが活発になり、糖の分解が速く進むことによって辛口になります。逆に軟水を使用するとミネラルが少ないため酵母の働きがゆっくりとなり糖の分解も進みづらいので甘口になります。
江戸時代以来、灘では宮水と呼ばれる硬水を使い、質の高い酒を製造してきました。
広島県の三浦仙三郎が1897年(明治30年)に軟水醸造法を開発したおかげで、それまで酒造用水に軟水を用いることはあまりありませんでしたが、近年では軟水を用いた酒の味わいが現代人の味覚に合うとして、見直されています。

用途によって使い分ける「米」

酒を醸造する原料、麹米として使用される米を酒米と言い、酒米用の品種は通常の食用品種とは区別され、「酒造好適米」と呼ばれています。
仕込の際に、醪(もろみ)を増量するときに使用する蒸米のことを掛け米と言い、掛け米は、吟醸酒・大吟醸などの場合は酒造好適米が使われることがありますが、普通酒は一般のうるち米が使用されることがほとんどです。

特徴

米に含まれるデンプン質は酒造りにとっては不可欠です。
酒米として用いる米は、一般の食用の米より多く糠を削り落とします。
理由としては澱粉質以外の成分はなるべく少ない方が望ましいとされているためです。

アルコール発酵を促す「麹」

麹は米のデンプンをブドウ糖に変える働きをします。蒸した米に麹菌というコウジカビの胞子を繁殖させたものを日本酒に用います。これを米麹とも言います。
日本酒以外にも、味噌、食酢、漬物など、いろんな発酵食品を製造するときに用いられます。

酒の味を決定付ける「酵母」

酵母とは、栄養細胞の出芽、または分裂によって繁殖する菌類です。自然界に何十万もの種類が存在しており、それぞれ異なった資質をもっています。この酵母の種類の数だけ味わいや香りが違った酒が出来ます。
また、日本酒の醸造に用いられる酵母を清酒酵母といいます。
明治以前は、麹と水を合わせる過程において長年の仕込により酒蔵に棲みついた「家つき酵母」もしくは「蔵つき酵母」に頼っていました。その為、運任せで醸造される酒は品質が安定しませんでしたが、明治時代になると微生物学の発達により、有用な菌栽培が行われ、それを使用することにより品質の安定と向上が図られました。