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そもそもゼラチンの歴史は古く、古代エジプトのにかわ製造が起源というのが定説です。当初は主に接着剤として使われ、化学接着剤が発明されるまでさまざまな分野で活用されてきました。ピラミッドから出土した棺、調度品、美術工芸品などを見ても随所に使用され、如何に人々の暮らしに浸透していたかがわかります。また、にかわの製造風景を描いた壁画なども残っており、古代人にとって大切なものだったことが想像されますね。


1700年頃になると、ヨーロッパ各国でゼラチンの工業的な生産が開始され、1800年代には食用のゼラチンも生産されるようになっていました。19世紀後半には、写真乳剤にもゼラチンが応用され、さらなる発展を遂げていきます。食用、医薬用品用、写真用、工業用と、その活用の場は飛躍的に広がっていきました。


日本では、墨の材料としてにかわを用いたことが「日本書紀」に記されていますが、島国日本では、長く寒天が食用として用いられてきたという歴史背景があります。ゼラチン産業が本格的な発展を遂げるのは大正時代になってから。奇しくも国内のゼラチン生産のパイオニア、新田ゼラチンが生産を開始したのも大正7年(1918)でした。しかし、生産が始まって後は、生産、消費、両面において急速に発展を続け、今や世界の年間ゼラチン消費量約27万トンのうち約2万トンを消費するまでになりました。これからも、食品、医療、文化など、あらゆる方面で日本人の暮らしを支えていくことでしょう。